自然栽培の「定義」とは?
「自然栽培」という言葉はよく聞くけど、それって一体どんな栽培方法なのか。
友人たちから時々聞かれることがあるのですが、実はこれが一番困る質問なんです。
だって、自然栽培という言葉はあっても「これといった定義がない」から。
無農薬無化学肥料ということは共通しているようですが、それ以外の野菜の育て方は十人十色。
まず大きく分かれるのは「耕起か不耕起か」、それから「施肥を行うのか無施肥か」どちらなのか。
施肥を行う場合は「堆肥など動物性肥料かボカシや米ぬかなど植物性肥料」どちらを使うのか。
さらに「畑にあるのは野菜の単一だけなのか雑草も含め密生混成か」など、どんどん細分化されていくわけです。
そのため
・不耕起で無肥料
・不耕起で施肥
・耕起して無肥料
・耕起してボカシや米ぬかなど植物性肥料
・耕起して堆肥など動物性肥料
上記のように栽培方法は何通りもあるのですが、
これらは全部、自然栽培という概念でくくられています。
つまり「自分が行っているのは自然栽培だ」と思えば無農薬無化学肥料であればなんでもOKということです。
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自然栽培の「曖昧さ」が招く危険性
これらの「曖昧さ」は時に大きな危険性を含んでいます。
消費者が野菜を買い求める際「自然栽培」と書いてあっても、実際にどうやって作られたものなのかが分からないため、「無肥料だと思ったのに違った!!」など誤解が生じてしまう可能性があるからです。
自然栽培を行っている方の中には対面販売で消費者としっかり話をしながら、意思疎通を図ってから納得して購入してもらうという素晴らしい方もいるようですが、皆が皆、そうできるものではありません。
お店に並んでこうしたギャップが生まれると訴訟やクレームを出されてしまう可能性もあります。。。
特に海外、世界に視野を広げた際には命取り。
個人的には、この曖昧さもまた自然栽培が広がらない一つの要因ではないかと思います。
「自然」と「栽培」
「自然」と「栽培」、そもそも対義語にも当たるような二つの言葉の組み合わせ。
「自然の中で育てる」のか
「自然の状態に近づけて育てる」のか
「自然を守るために育てる」のか
「自然に任せて育ててもらう」のか
育てるのか、育ててもらうのかという人間の立ち位置も変わってきますし、概念すら真逆ですよね。
ちなみに私が行っている協生農法は、無農薬・無施肥・不耕起で自然の動植物達に野菜を育んでもらっています。
そういう部分では自然栽培と協生農法は全く異なるもの、という捉え方もできるかもしれません。
「持続可能な社会の実現」「健康になれる野菜」、同じベクトルを持って慣行農法と別の道を進んだはずなのに、一枚岩になり切れない。
全員が全員同じ農法を行う必要などないですし、自分の中でどこまでが許容範囲なのかを自問自答して栽培方法を選べばよいと思います。それぞれが悩み考えた末に選択した栽培法。だからこそその人たちが選んでいるその道を決して否定してはならない。
その中で、もし協生農法に興味を持ってくれる方がいれば共に道を歩んで行ってほしいと思います。
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はじめまして。淡路島で農業している児島と申します。いくつかの記事大変興味深く拝見させてもらいました。自然栽培ですが、無肥料で耕起ありが一般的だと思います。植物性の肥料なら大丈夫という認識の人もいますが。動物性肥料ありなら、ざっくり言うと自然農法だと思います。
コメントありがとうございます。
農業を営んでいらっしゃる方からご連絡をいただけるなんて光栄です。
自然栽培、自然農法ともに定義が曖昧であり、それが混乱を生んでいる所を目にしたので記事にしてみました。
「植物性の肥料なら大丈夫」という考え方自体も「本当はもっと肥料をあげたいのだけれども我慢している」のであって
肥料は本来植物には必要ないという自然の理にならった思考とはまた少しずれてしまっているように感じます。
使わないことに固執しているわけではなく、使う必要がない。
その本質を理解するところに起点を持つ必要があると感じています。