自然信仰の世界遺産「宮島」 【弥山・神の頂】編

前回前々回と2回に渡りお届けしてきた自然信仰の世界遺産「宮島・弥山」レポート。

麓の大聖院から延々と続く石段を登り、お地蔵さんに励ましてもらいながら、なんとか奥の院までたどり着いた私。仁王門の分岐点に戻って頂上まであと0.8キロ。いよいよ今回、御神体である弥山の頂上へとたどり着きます。

ここから先も、石段が。。。

熊野古道伊勢路の石畳は、袴姿の女性でも歩けるよう、前へ進ませてあげられるようにとに非常になだらかな作りになっていましたが、弥山道は一歩一歩かなり足をあげないと前へ進むことができません。

伊勢路が「思いやりの道」なら、こちらは修行道ではないものの「神仏に試されている道」という感じなんですかね。

登っている途中に気づいたのですが、面白いことに半分の十二丁を超えた辺りから空気がガラッと変わったことを感じました。どこか伊勢神宮の聖域にも似た肌に吸い付くような霊気。

原始林の樹勢も濃くなってきたようで、益々エネルギーに満ちてきたような気もします。

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1200年燃え続ける「消えずの火」

弥山頂上周辺には弥山七不思議と呼ばれる様々な史跡を見ることができます。

例えばこちらの「干満岩」。

岩穴の水は干潮の時は乾き、満潮の時はあふれるという不思議な現象が起きるそう。

標高500mの山頂近くで潮の影響を受けるとは考え辛く、七不思議のひとつとされています。

水は塩分を含んでいるそうですが、この状態で舐める気にはなりませんでした。すいません。。。

他にもこちらの「霊火堂」には、かつて弘法大師(空海)が修行の際に焚いたとされる霊火「消えずの火」があります。

以来1200年間途絶えることなく燃え続けている霊火・・・想像していたものとは少し違っていました。

これも七不思議のひとつとのことですが、人の手によって継がれ続けてきたわけではないのですかね?

広島市の平和公園内にある「平和の灯火」の元火になっているそうです。

この火で沸かした霊水は万病に効くと信じられていて、実際に飲むこともできます。

かなり燻された感じで、独特の味わいがしました。

霊火堂の前には「消えずの火」の灰を混ぜて作られたという「ねがい地蔵・ごめんね地蔵」が。

自分の願いや懺悔の気持ちをこのお地蔵さまに託すのだそうです。

しかしながら、なんともいえない愛くるしい顔つきで心が和みます。

ついに神の頂へと

霊火堂から10分ほど階段を上るといよいよ頂上にたどり着きます。

あともう少しだと思うと、石段を上る足取りも軽い軽い。

こちらが標高535m、霊山・弥山の頂です。

ゆっくりと考え事をしながら登ってきたこともあり、登り始めてから2時間30分かかりました。

かつて伊藤博文に日本三景一の真価は弥山の頂上からの眺めにあり」といわしめた弥山の眺望。

どんな眺めなのかというと・・・

うーん残念、この日はちょっと見えづらかったですね。向こうに見えているのが本州です。

角度を変えれば、瀬戸内海の島々も見渡すことができました。

自分はなんてちっぽけなんだろうと思う人もいるでしょう、逆にこの国は自分には狭すぎると欲を抱く人もいるでしょう。平清盛、豊臣秀吉、彼らはこの海の果てに理想を描いたのでしょうね。

でもね、伊藤博文が言う「真価」とは何にこの景観のことを言っているわけではないと思うのです。

麓からここまで歩いてくるまでに自然が教えてくれたこと、様々な気づき、それを含めて真価なのではないかと。

弥山が教えてくれたこと

弥山は大きな大きな「気」の巨大な集合体。もし仮にそれを「御神体」と呼ぶのであれば、私はこの島に確かな神の存在を感じとることができました。

麓では厳島神社の神々や大聖院の仏に祈りとささげる生と死のエネルギーが交わった「人の気」。

山中には原始林の動植物達による「命の循環の気」。

それぞれに溜まった気は「潮の満ち引き」によって島中に巡らされているのではないか。

潮が満ちていく時は麓から弥山山頂へと気が運ばれ、逆に潮が引いていく時には弥山に溜まった気が里へと運ばれる。

私が歩いている途中に感じた「生と死、再生のエネルギーが、らせんを描くように弥山頂上へ向けてかけ上がっていくようなイメージ」はまさにこれだったのかも知れません。

しかし、この現象は小さな宮島だったからこそ気づいただけであって、おそらく島国である日本全体においても同じことが言える現象なのではないかと思います。(もちろん私の個人的な考えにすぎませんが)

富士山や、出羽三山、金峯山などなど信仰の対象となっている霊山は「気」が運ばれ集まりやすい場所なのではないでしょうか。

宮島は「日本の縮図」。その捉え方をすれば、平清盛、豊臣秀吉、伊藤博文が何故この島に厚く信仰を寄せていたのか、その理由が少しわかってきたような気がしました。

これまで3篇にわたり長文駄文にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

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