台風後、銚子川が以前にも増して綺麗になった理由
おとといから、やっと銚子川の透明度が本調子に戻って来ました!
元に戻るどころか、むしろ以前に増して綺麗さに磨きがかかっているようにも思えます。
ご覧ください、このエメラルドグリーンの鮮やかさ!
浅い瀬の部分は無色透明、淵のように深い場所であれば碧がかっていくんですね。
どうして台風後に以前にも増して川が美しくなるのか、それは台風時の増水による「撹乱(かくらん)」という現象によるものです。
今日は、その撹乱について河川や生態系にもたらす影響がどのようなものかご紹介したいと思います。
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撹乱は「悪いこと?」「良いこと?」
10月中旬から下旬にかけ立て続きに起きた台風21号、22号の連続襲来。
普段は、圧倒的な透明度を誇る銚子川といえども、一時はこんな濁流に変わりました。
荒々しい水の表情。 しかし、それがわずか数日でこの通り。
今ではこんなにピッカピカ日本!!
むしろ、台風が来る前よりも綺麗な状態になりました。
石の周りに、ほとんど水が見えないほどの透明度。
この通り、よく見るとちゃんと岩の半分くらいまでは水に浸かっているんですよ。
目を凝らさないと見えないほど透明ってどんな川やねんって感じですよね。
この美しさは、今年の夏以降、これまでこれといった大水が出ていなかったため、汚れや落ち葉など河底に溜まっていたものが、今回の台風による大雨により一気に洗い流されたからこそ生み出された美しさです。
上流の魚飛渓の石なんて、どれも真っ白!!
ここは花崗岩の地質なので、もともと白い石が多いのですが、夏場は石の表面にコケなどが繁茂して、くすんだ感じに変色していたんですね。
こびりついていたコケなどが一気に削ぎ落とされたからでしょうか。まさに洗いたての白さという感じ。しかし、すぐにまたコケが生えて来るので、この白さは今しか見ることのできない美しさです。
台風一過後の銚子川の景色が、一年で一番美しいという人も多いんですよ。
生物への影響は?
台風や洪水など、河川が増水して土砂をかき混ぜ、河床の形を変えたり、河川環境を大きく変化させることを「撹乱(かくらん)」といいます。
それまで生物たちが暮らしていた環境を壊し、下流へと流したり、一部を死滅させたりすることもあるため、「悪いこと」と捉えがちですが、そうではありません。
数年に一度(銚子川では12年ぶり)、とてつもない大水で河川の環境を一新することで、これまで一部の場所で集団で住み着いていた個体群がいなくなり、これまでその場所にいなかった別の生き物が住み着くことができます。
停滞しがちな生息域を広げるという意味もあるため、どちらかといえば「良いこと」と捉えられています。
また、撹乱の恩恵を受けるのは川の中だけではありません。
こちらは、台風と大水の浸食によりなぎ倒されてしまった木々です。
こうして倒れた木々の下に空いた穴などの空間を、カワセミやツバメといった野鳥が営巣に利用することもあるそうです。
つまり、河川環境に新しい変化をもたらすことで、新しい生態系を生み出すことができるんですね。
もちろん、生き物たちが住む環境が整わないまま、毎年のように撹乱され生態系を壊し続けてしまっては、生物の数は減っていくだけですが、数年に一度であれば生物多様性にプラスの作用をもたらすこともあると考えられているんです。
スクラップ&ビルドでたくましく生きていく野生の生物たち。その生命力の強さにはいつも圧倒させられます。