河口洋一郎「5億年後の生命体」@岡本太郎記念館
先日、南青山にある岡本太郎記念館で開催中の「5億年後の生命体」展を観に行ってきました。
CGアーティストとして世界を舞台に活躍中の河口洋一郎さんによる
「人類が存在しないかもしれない5億年後の未来を想像してみよう」というコンセプトの企画展です。
ポスターに描かれたカラフルな生命体。腸の鞭毛か原生生物のようにも見えますね。
太郎人形の横に現れたのは「5億年後の生命体」・・・ではありません。
これは岡本太郎が手がけた「こどもの樹」という作品なのでお間違え無く。
階段を上がると、2階全体がその生命体たちの巣窟と化していました。
ものすごい存在感で鎮座しているのは「シザーズフィッコ」。
今後数億年、生き残った時の戦略はどのようなものかを想像した生物です。
身体は硬い殻で覆われ
強力なハサミを身に付けています。どうやら巨大な甲殻類のようですね。
CGで生命体を生み出す「グロースモデル」。
それ自身が増殖しながらひとりでに成長することのできる形態的な特徴を取り入れることを試みたそう。
神経細胞のように張り巡らされた触手を使用し、感情的なコミュニケーションをとることもできるとか。
「渦をまいていない宇宙に生物はいない。生命の始まりは全部渦である」と語る河口さん。
昆虫、魚、鳥、実在する生き物たちの動きや形状をCGプログラミングによる数理計算を用い、超越化させることで5億年先の未来へとつなげることができるといいます。
こうした作品を通して「生命の誕生とエネルギー」を表現しているそうです。
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岡本太郎自身も「生命の誕生とエネルギー」を表現した作品を生み出しています。
それが太陽の塔の内部に作られた高さ45mの巨大なモニュメント「生命の樹」です。
塔の下部はアメーバなどの原生生物。
上に登るにつれ、古生代の生物が現れます。
さらに上には恐竜や翼竜。
最上部にはクロマニョン人の姿がありました。
単細胞から人類誕生まで、生物進化のプロセスを292体の生物達が示してくれています。
根源から立ち上り、未来へと向かうダイナミックな生命観。
40億年にわたる生命の時間を造形化したものですが、進化の歴史はここまで。
枝分かれした先の最上部にはオランウータンやチンパンジーなどもいますが、現人類はそこには描かれてはいません。
いつしか私達は、地球に息づくこの生命の樹からはじき出されてしまったのでしょうか。
それとも、自分は彼らとは違う特別な存在であると過信し、自ら樹から落ちていったのでしょうか。
もう一度手を取り合って、この樹に戻り、その先への道を進むことができるのか。
そうしたメッセージのようにも感じます。