常若&長寿の象徴「ヤマトタチバナ」
国土交通省が行っている一級河川水質調査で日本一に過去に11度も輝いたこともあるという三重県が誇る清流「宮川」。
上流部にある大台町は町土の約90%以上を森林が占めるという自然豊かなまちです。
そんな緑に囲まれた環境で自然農を行っているFさんという男性がいます。
Fさんが行っているのは無農薬無肥料の不耕起栽培。
不耕起を10年以上も続けているという私の大、大、大、先輩です。
畑にあるのは春菊やニンジンの仲間のフェンネル、白菜などの葉物。
ちょっと掘るだけでキクイモやヤーコンもどっさり。
また、畑にある野菜の大半は自分で種を取って育てたものばかり。生命に対する深い畏敬の念を感じました。
私が、元々田んぼとして使用し毎年土を耕していた場所で去年の春から不耕起栽培を始めたという話をしたところ
「それはイチからのスタートどころかマイナスからのスタートだね。相当大変だ。。。」という厳しいお言葉が。
それでも、これからどうすれば目指す畑に近づくことができるかアドバイスをいただけたので、少しずつでも実践していきたいと思います。(Fさんが気になさっていたのは土の硬盤層。それについてはまた別途まとめます)
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常若の御神木「ヤマトタチバナ」
Fさんは、もともと鈴鹿市内の某大手食品メーカーで働いていたのですが、健康な食品とは何かということに疑問を持ち始めたことをきっかけに退職。17年前に大台町へと移住し無肥料無農薬不耕起の野菜作りに取り組んでいます。
そんなFさんが数年前から心を奪われ、心血を注いでいる植物があります。
それが「ヤマトタチバナ」。
ヤマトタチバナはミカン科ミカン属の常緑小高木。
日本に古くから自生していた固有種の柑橘で、実は日本原産の柑橘種はヤマトタチバナとシークワァーサーの2種類だけ。
古事記や日本書紀に「神様が初めて植えた木」として登場し、古くから穢れを祓う神聖な木として大切にされてきたそうです。万葉集にはヤマトタチバナが登場する歌が約70種もあるのだそう。
冬でも葉が落ちず、常に緑を保ち青々と生い茂って栄える様子から「常若」「不老長寿」永遠性の象徴として考えられており、今でも京都御所や某神社の御神木として崇められています。
実は2~3センチほどと小さく、種が多く酸味が強いため生食には向かないのですが、さわやかな香りが長く続くという特徴を持っていて、非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)永遠に香りが絶えない果実とも表現されています。
すだちや柚子のような使い方をするとよいみたいですね。
また「文化は永遠であるべき」という考えから文化勲章にはヤマトタチバナが描かれているという日本を代表するような木なんです。
しかし、一方で環境省のレッドデータブックで純絶滅危惧種にも指定されているほど数が少なく、このままではいつか絶滅してしまう恐れがあると危惧されています。
三重県の鳥羽市答志島には天然記念物に指定されているヤマトタチバナの古木があり、鳥羽では「市の木」として保護活動や苗木の育成、普及活動を行っています。
Fさんも日本古来の野生種であるヤマトタチバナをなんとか残したいと、鳥羽市でこの木を育てている知人から完熟落果をもらい自宅の庭で実生(実から種を取って植える方法)で100本以上を育てています。
こちらは種をまいて1年の苗木。
それが8年すると50センチほどの高さまで成長します。
日本の固有種で永遠を象徴する木がなくなってしまうなんて、そんな悲しいことはありません。
私も是非お迎えさせていただきたいと、今回Fさんから6鉢購入させていただきました。
そのうち2つは、いつまでも常若に長寿でいてほしいという願いを込めて大切な知人へのプレゼント。残りの4つは暖かくなったら協生農法の畑に植えようと思います。
私のシンボルツリーになってくれるのではないかと期待大です!!
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