芸術は「太陽」であり「エネルギー」@川崎市岡本太郎美術館
土曜日の「縄文展」「藤田嗣治展」に引き続き、翌日の日曜日にも展覧会を巡りました。
やってきたのは神奈川県川崎市の生田緑地。
この奥に、この日私が目指す美術館があります。
しかしながら、気持ちの良い森ですね!!
虫取り網を持った子供たちも走り回り、まさに都会の憩い場といった感じ。
森は散策路にもなっていて、ここに何度も通うといつの間にか植物博士になれそうです。
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ベラボーに純粋な芸術家「人間・岡本太郎」
そんな森の最深部に突如現れるのがこちら。
どこか縄文時代の環状集落を連想させるような建築物川崎市岡本太郎美術館です。
太郎が残した1800点もの作品が保管されています。
9月24日(月)まで、企画展「街の中の岡本太郎 パブリックアートの世界」を開催中!
看板には「太陽」。太陽といったら代表作である万博公園の「太陽の塔」が印象的ですよね。
絵画や書、建築、陶芸などなど広く才能に長けた人物であった岡本太郎。
実は亡くなる前年(1995年)まで公園や学校、公共施設などといったパブリックな空間に作品を作り続けてきた芸術家でもありました。その数は全国に70か所140作品以上にのぼります。
太陽の塔もその一つです。
「小さい絵を描いても個人のコレクションになるだけで誰にも見られない。でもパブリックアートなら1円も払わなくても誰にでも気軽に見てもらえる。芸術のための芸術ではなく、芸術と社会をつなげる不可欠な存在である」
何気ない日常空間に、自分の心の中に本当の芸術はある。それらに響かせ呼応させるのがパブリックアートの役割だという太郎の強い理念があったように感じます。
芸術は太陽と同じ。無償でエネルギーを与え続けるものであり、人間の根源的な喜びと感動を呼び覚ますツール。
もう会場に着くなり、心が震えっぱなしです。是非とも生前にお会いしたかったなぁ。。。
パブリックアートを題材としている企画展とあって、撮影は自由。
むしろSNSやブログに作品を載せて、どんどん紹介してほしいとのこと。
こちらは国立児童センターに飾られていた「子どもの樹」という作品。
幹から生えた子供の無邪気でユニークな顔、顔、顔。
ペロッと舌を出した顔もあれば、笑った顔などもありましたが、泣いた顔は一つも見当たりません。
子供の泣いた顔は作りたくないという太郎の優しい心からでしょうか。
「子供の未来は十人十色、自分の人生を歩み、様々な花を咲かせてほしい!」とでも言っているようなメッセージを受けました。
他にも、こちらは川崎市立藤崎小学校に設置されたモニュメント「喜び」。
地球に乗って遊ぶリボンをつけた少女の像、子供たちからは「リボンちゃん」という愛称で親しまれているそうです。
頭に乗せた大きなリボンは、羽のようにもプロペラのようにも見えます。
「大地の子である子供達。成長し大きく羽ばたいていって欲しい」そんなメッセージを感じ取りました。
岡本太郎は、銀座子供ギャラリーの名誉館長でもあります。純粋に未来の子供を、日本の将来を観ている。
太郎にとって子供たちは、太陽のような存在だったのかもしれません。
慣習的な価値観を「夜の闇」だとすると、子供達には新しい世界の夜明けを告げる太陽のように光を灯してもらいたい。そんな願いを感じるような展覧会でした。
色や形も個性的で全身を使って魂を投げかけてくる姿勢。
それは太郎が心奪われた縄文のエネルギーそのものでした。
こんなにメッセージが直接届く美術館に出会ったのは久しぶりです。
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