「寒の水」は何故おいしい?

奈良県天川村にある採水場に「ごろごろ水」を汲みにいってきました。

この日は比較的暖かかったのでそこまで雪は多くなかったですが、近くにスキー場があるほどの積雪地。途中の道は凍結しているため、スタットレスは必須です!

大峰山の登り口近くにあり、古くから修験道の方が霊水として愛用されてきた湧水「ごろごろ水」。

原生の森にたくわえられた雨水や雪解け水が、長い年月をかけピカピカに磨かれ湧き出てきた命の水です。

「寒の水」は薬いらず??

特に寒入りから立春まで、一年で最も寒い時期の湧き水は「寒の水(かんのみず)」とも呼ばれています。(2018年は1月5日から2月4日までが寒の水にあたります)

寒中に汲んだ水は不純物が少なく雑菌が繁殖しにくいため、味も落ちにくく腐りにくいという性質を持っています。そのため、「寒の水は薬」ということわざがあるほどは古くから神聖な水として人々に好まれてきました。

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寒の水はこんなところでも

寒の水は薬として重宝されてきただけではありません。

以前、杜氏の方に話を聞く機会があったのですが、酒蔵では雑菌が繁殖しにくいという寒の水の利点を活かし、この水を使って純米大吟醸など一番ランクの高いお酒を仕込むのだそうです。これを寒仕込みといいます。

発酵中の樽のもろみは、ぼこっぼこと音がして、僕ら生きてますよと微生物たちが声をあげているようにも聞こえました。

低温でゆっくり時間をかけて発酵させることができるので、雑味のないきめ細やかな味わいの美味しい酒が出来上がるわけですね。

機械で温度管理が自由自在にできるようになった現在では夏でも酒を仕込めるようになりましたが、温度の高い夏場に作ると一気に発酵が進んでしまい、十分に素材の味を引き出す間もなく完成してしまうため、荒々しいというか、まろやかさが無いというか。。。

やはり寒の水を利用したものは格別です!飲むと身体も心も大いに喜ぶことを実感できます。

まとめ

寒の水は日本酒だけでなく、味噌仕込みや紙漉きにも使われているそうで、自然と向き合う日本人らしい文化と呼べるのではないでしょうか。水、風、太陽、土、そうしたものに感謝の念が湧き出てくるのもうなずけます。

すべての恵みは自然が生み出してくれたもの。その恩恵にありがたさを感じながら、今日もいただきたいと思います。

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