霊水湧き出る3つの井戸「紀三井寺」
西国三十三所の第2番目の寺である和歌山市の「紀三井寺」に行ってきました。
西国三十三所とは、和歌山、大阪、兵庫、京都、奈良、滋賀、岐阜と近畿圏を包括するように観音霊場を巡る信仰の道。総距離は1000kmにものぼります。
今年(2018年)は西国三十三所が草創されて1300年という節目の年、この日も白装束を着たたくさんの巡礼者が参拝に訪れていました。
紀州に湧く三つの井戸水
とはいえ、私たちは今回お参りが目的ではなく、紀三井寺の名前の由来にもなっている「三つの井戸水」を見にやってきたわけですが。。。 紀州の寺に湧き出る地下水、どんなものなのか気になります。
井戸水は境内3か所にあります。全て回ろうとすると長ーい階段を登らないといけません。
地上から頂上までは231段。石段を一段一段登ると厄が落ちる厄落としの階段として知られています。
傾斜も結構急だったので、急がず一歩一歩大切に進んだ方がよいかもしれません。
頂上からは和歌浦湾を望む絶景。 観音様はここから和歌山の町を見守ってくれているのでしょうかね。
紀三井寺は早咲きの桜の名所としても知られているのですが、まだ蕾も膨らんでいませんでした。
中にはソメイヨシノの標本木があり、この木を観察して和歌山の気象台が開花宣言を行うそうです。
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懺悔と招福の「霊水」
1200年間も絶え間なく湧き出ているという紀三井寺の霊水。
「吉祥水・清浄水・楊柳水」の3つの湧水は合わせて国の名水百選にも定められています。
人が誰しもが持つ罪や心の痛みを洗い流す水として伝えられています。
江戸時代に刊行された「紀伊国名所図会」にも描かれていて古くから紀三井寺にかかせない名勝として人々に愛されてきました。
近年では取水場も整備され、霊水を少し汲んで帰ることもできるそうです。
古くから茶、花、墨、酒、味噌、醤油などの醸造など様々な仕込みのためにこの水を用いられているのだそう。
念のために煮沸してくださいと書いてありましたが、私はそのまま生飲。
山からの流れる「気」をたっぷりと含んだ霊水は少し硬め。ほのかに土の香りがしますが非常に美味しかったです。
これからの千年のために
紀三井寺の魅力は湧き水巡りだけではありません。
頂上には平成20年に落慶されたばかりの新しい新仏殿が。
一番左側の窓にご注目ください。
ちらりと覗く観音様のお顔。
こちらが木造りでは日本一の大きさといわれる千手十一面観音菩薩像です。
まぶしいくらいにキラッキラと輝いています。
手の紐はこの五鈷杵(ごこしょ)と繋がっていて、触ると観音様とご縁を結ばせていただけるそうです。
完成してまだ10年も経っていませんが、これから数百、千年とこの場所で様々な方を受け入れてくださるのでしょうね。
水もそうですが、悠久の時を感じる素晴らしい空間でした。
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