創造とカタストロフに協生を思う@六本木ヒルズ・森美術館
六本木ヒルズの森美術館で開催中の「カタストロフと美術のちから」展を観に行ってきました。
美術館があるのは森タワーの53階!
高速エレベーターに乗ると耳がキーンとしてくるほどの高さです。
窓から秋空の東京を展望できるかと楽しみにしていたのですが、残念ながらこの日は曇天。。。
まぁ言い方を変えれば、カタストロフ日和というところでしょうか。
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サブタイトルに「それでも人は立ち向かう」とあるように、震災や豪雨などの自然災害をはじめ、戦争やテロなど世界各地で直面しているカタストロフ(大惨事)に対しどのように向き合い、再起していくために美術ができることとは何なのか、悲劇に満ちた現代という時代にそれらを考え表現する根源的なテーマを捉えた展覧会となっています。
明日太陽が昇ることを信じて前に進む、負を正に転ずる力学としての「美術のちから」。森美術館15周年記念展ということもあり、非常にスケールの大きな企画です。
トーマス・ヒルシュホーン《崩落》※この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示-非営利-改変禁止4.0国際」でライセンスされています
こちらはスイス出身の芸術家トーマス・ヒルシュホーンの作品「崩落」。
建物の壁が崩れ落ち、瓦礫が散乱しています。破壊をテーマとしたこの作品、自然災害によるものなのか、人為的に引き起こされたものなのかは明記されておらず、それぞれ見た人に感じてもらおうというもの。
壊れた壁には「すべての創造は破壊からはじまる」「人間だけが破壊や消失を引き起こすことも、防ぐこともできる」という文字が。パブロ・ピカソとエリ・ヴィーゼルの言葉の引用ですね。
自分が最近不耕起栽培に取り組んでいるせいか、この作品をみているとどうしても畑を連想してしまいます。
土を耕起するという行為は植物や微生物からしたら明らかに「破壊」。
でもしばらくすると、やがて生命のチカラによって再生していく。
台風で川が氾濫することだって、いわば「破壊」。
でも環境が攪乱(かくらん)されることでイチから生態系が形成され、新しい生き物たちが住み着くことができる。
スクラップ&ビルド、そこから再び生命が宿る。
価値観だってそう。凝り固まった常識を破壊すれば、フラットな目線で物事を見て考えることができる。
まさに、すべての創造は破壊からはじまる。
オノ・ヨーコ 《色を加えるペインティング(難民船)》※この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示-非営利-改変禁止4.0国際」でライセンスされています
中には「理想の未来を実現するためのメッセージ」を自分たちで書き込んでいくという体験型の作品も。
青と白の2色のクレヨンが手渡され自由に表現できるとのこと。
これまで何人が書き込んできたのでしょうか、ほとんど読み取ることができませんでした。
「世界を見ろ」。これも重要なことですよね。
さて、私の「理想とする未來」のキーワードですが・・・やっぱりコレしかない。
「協生」しっかりと書き込んできましたよ。
この他にも、考えさせられる作品が山ほどあり、刺激をビシビシ受けられる素晴らしい展覧会でした。
つくることは一歩踏み出すこと
つくることは心の色をぬり変えること
つくることは生きること
つくることは明日を変えること
高橋雅子(ARTS for HOPE)
2019年1月20日まで開催中なので、ご興味のある方は是非!
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