「祟り、祟られ、化け、化かされ」みえミュージアムセミナー
三重県生涯学習センターで開かれている「見る!知る!巡る!みえミュージアムセミナー」に参加してきました。
9月から11月にかけて三重県内のユニークなミュージアム7館が、その年のイチオシの展覧会などをテーマにセミナーやパネル展示を行うというこの催し。
普段、なかなか美術館や博物館に行くきっかけがないとお思いの方に、プレ展示を「見て」、セミナーで「知る」ことで思わず「巡りたくなる」という仕掛けだそうです。
各回、7館それぞれの学芸員の方が生涯学習センターに来てくださり、現在開かれている展示会の見どころを紹介してくれます。
しかもセミナーの受講料は無料とあって、たくさんの方が展示会の話を聞きにきていました。
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災いはモノノケとともに?
今回は、現在「斎宮歴史博物館」で開かれている特別展「災いはモノノケとともに〜病気から天変地異まで〜」を題材にセミナーが行われました。
モノノケLOVE!怪異大好物の私にドンピシャなこの企画。 妖怪アンテナバリ3で話に聞き入ってしまいました。
平安時代や江戸時代など科学がまだ未発達な時代、異常気象や流行病など世間を騒がせる「不可思議な出来事」の原因は全てモノノケや怨霊の仕業と考えられて来ました。
かつて伊勢神宮では、サギやトビがたくさん集まる、蜂が境内に巣を作る、枝が落ちるというだけでも「怪異」とみなされていたという文書が残っているそうです。
とにかく姿・形の見えないもの、世の中のありとあらゆる不思議な現象、人知の及ばないものは「モノノケ」の仕業だったわけですね。
時や場所を選ばず怪異が引き起こす「災い」という不安と恐怖の中に、その時代に生きた人々は何を見出し、どのように避けようとしていたかというお話です。
災いの正体は?
当時の人々は病気などの「災い」をどのような存在と捉えていたのでしょうか。
その認識がわかるのがこちらの図絵。
飛脚が担ぐ駕籠や、女性の肩に抱きついている小さい鬼のようなものが取り憑いていますが、これは当時流行した病「麻疹(はしか)」について描かれたものです。
小さい鬼は「疫病神」。こうして自分が何かモノノケに取り憑かれたために、流行病にかかってしまったと考えられていたわけですね。
この図絵のタイトルは「麻疹心得之図絵(はしかこころえのずえ)」。どうすれば疫病神に取り憑かれないのか、麻疹の対策を箇条書きにした瓦版のようなものだそうです。
まぁ、確かにウィルスや細菌に取り憑かれたといえば、そうなのかもしれませんが。あえて擬人化をしていると考えると非常にユニークで面白く感じます。
祟りや怨霊の正体は?
豪族同士、武士同士など、常に権力の争いが絶えなかった時代、一番恐れられて来たのが「祟りや怨霊」です。
こちらは「北野天神縁起(きたのてんじんえんぎ)」。左上の男性にご注目。
描かれているのは左大臣「藤原時平」。何か病で伏せっているようです。
よく見ると耳から何か変なものが出ているのがわかります。
これ、実はヘビ。 祟りがヘビとなって体に取り憑いていることを表しています。
当時、宇多天皇に積極的に起用されていた学者の藤原道真。道真の出世の早さを妬んだ藤原時平は、901年、道真を讒言(ざんげん)して太宰府へ左遷させます。
邪魔者がいなくなり、権力を得た時平。思い通りの世の中になると思いきや、時平は謎の病にかかり39歳という若さで亡くなってしまいます。
彼を死に追いやったもの、それは上記の絵のような「怨霊となった道真の祟り」だと信じられていたんです。
因果応報と言いますか、その原因を作ったのは他ならぬ時平自身。自分の心に何かやましいことが、あると、「あの時の祟りだ」とか「あいつの怨霊だ」とか結びつけてしまうようですね。
この例以外でも、たいがい祟られるのは「権力者」、祟るのは「敗者」と相場が決まっています。
祟り、祟られ、化け、化かされ
ある時は「祟る側」、ある時は「祟られる側」。化かされる側も化かす側も全て「人間。」
つまり権力闘争に明け暮れる限りは祟りも続くということ。
時代は変わっても今もタヌキ同士の「化かし合い」は続いています。
「化かし合い」?それとも「馬鹿試合」?
お互いゲームに負けても、怨霊にならないことを切に願っております。
取り憑かれるのは試合に巻き込まれた国民なので。。。
斎宮歴史博物館 |
特別展「災いはモノノケとともに〜病気から天変地異まで〜」 |
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期間 | 平成29年10月7日(土)〜11月12日(日) |
入場料 | 一般400円 大学生260円 高校生以下無料 |
営業時間 |
9:30~17:00(休館日:月曜) |
住所 | 三重県多気郡明和町竹川503 TEL:0596-52-3800(代表) |