気になるアユの遡上数
春の生物調査も折り返し地点。今年もかなり嬉しい報告が続いています。
しかしながら、少しだけ気になるのはアユの遡上数が余りにも多すぎること。
エサとなる珪藻の取り合うことで大きく成長することができないのが問題?
いやいや、そんなことはさほど問題ではありません。小さくても大きくてもアユはアユ。
天然遡上のアユがいくら多くともそれはきっと自然の理に沿った現象のはず。
自然界全体で考えると何年かに一度こうしてアユが爆発的に遡上してくることで、海の養分を自らが有機物となって川に届けているという捉え方もできます。
長期的な循環のサイクルの中でアユ達は大きな役割を果たしているわけですね。
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アユの放流は臨機応変に
では問題はどこにあるのか。
そんな現状にも関わらず、「例年通り」にアユの放流が何百キロ以上も行われていることです。
天然遡上してきたアユ達だけでも餌場の取り合いが激しいのに関わらず、そこにさらに養殖されたアユを大量に投入。
するとどうなるか。
河川規模によって生き残れる最大数は決まっているので、自然淘汰されアユの個体数が正常値に戻る際に、膨大な有機物が川にもたらされるということになります。
そうなってくると、有機物の分解者でも対応できなくなり、大量の腐乱物が川や海に悪影響を与えることにもなりかねません。
よかれと思って行っていることは、ただ闇雲に川に多くの有機物を投入しているだけ。アユはさらに小さくなる。
アユをたくさん釣りたいがために放流するのに、その結果アユがどんどん小さくなってしまっては意味がありません。養殖アユによっては病気を運び、遺伝子汚染を助長してしまうという危惧さえあります。
さらにアユと同じく珪藻を食べる他の藻食性魚類の数も減り、河川の生態系のバランスが崩れていく。
人的要因の増殖でなければ何一つ問題はないのですが、そこに人の手が加わるとどうなるか。
自然の姿をつぶさに観察し、その年ごとに臨機応変に対応していくことも大切なのではないかと思います。
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