年魚の最期の輝き!「落ちアユ」の産卵

秋も深まるこの季節、一際輝きを増す生物がいます。それが「アユ」。

この時期、上流から産卵のために下流へと下ってくるアユ達のことを「落ちアユ」と呼びます。

水温が下がり始め、産卵の準備に入るとオスのアユは婚姻色という真っ黒でオレンジのラインの入った体へと変異します。そのため、サビアユとも呼ばれています。 

ただ、一つ気がかりなことが。

毎年、10月に入ったらバンバン産卵行動を見せてくれている落ちアユ達。しかし今年は、11月に入っても、まだ集団産卵が見られていないという不思議な現象が日本中の多くの河川で起きてしまっています。。。

昨日も銚子川で上流から下流までアユを探し回ったところ、産卵場の近くにちょこちょこ集まっているのですが、残念ながらほとんどサビアユの気配無し。。。 夏と変わらない姿のアユ達でした。

<スポンサーリンク>

アユは年魚

アユは一生を一年で終えることから、「年魚」とも呼ばれています。

寒い冬、秋に生まれたアユの赤ちゃんは海へと下り、そこで栄養を蓄えながら川の水温が上がるのを待ちます。波打ち際に近い場所で暮らす小さなアユ達。海は大きなゆりかご。アユ幼稚園のような存在です。

、4センチほどに成長したアユの子供達は群れながら一斉に海から川へと遡上を始めます。海水から淡水へと体をゆっくり慣らしながら川を上っていく姿はアユ小学校の集団登校のようです。

アユの好物となる餌はケイ藻という岩に生えるコケ。の時期には上質な餌場を求めて、さらに上流へと遡上します。餌場を見つけたアユは「なわばり」意識を持ち始め、群れて暮らすことなく、それぞれがライバルとして別々に暮らしながら成長していきます。中、高学生の反抗期みたいなものですかね。

そして、産卵期を迎えたアユ達は再び群れを作りながら、海の近くの下流の瀬へと降って集団産卵を行います。群れながら産卵準備を進めるアユ達、さながら婚カツパーティーとでもいえるのでしょうか。

こうして、次の世代へとバトンを渡し終えたアユ達は、産卵の直後、死んでしまうという一生です

つまり、秋の産卵はアユが最期、一生で最も輝く瞬間。晴れ舞台といえる時期です。

アユの天敵は?

日暮れ前に行われるアユの集団産卵。生命エネルギーの塊である「卵」を求めて、様々な生き物が集まります。

その中心となるのがアオサギカワウ。

この時期、銚子川では落ち鮎を狙うため、朝から晩までじっと川を見つめる姿をよく目にします。

多い時には20羽以上が集まって、アユの取り合いをしていることもあります。

透明度が良い銚子川ではアユが群れて泳いでくる姿も、水面からでもはっきり見えます。

だからアオサギやカワウも狙いやすいんでしょうね。

橋の下でちょうどアユが群れていたので写真に撮ってみたのですが、わかりますか?画面いっぱいに背中が少し黒くなった落ち鮎が写っています。

夕暮れ以降、辺りが暗くなってからアユが産卵行動をとるのは、こうした鳥などの天敵から身を隠すためとも言われています。

個人的には、婚姻色でオスの体が黒く変わるのも天敵から見えにくくするためなのではないかと考えています。

今のところ、まだ大規模な産卵は始まっていないようなのでサギやカワウも待ちぼうけ状態が続いています。例年11月はもうピークの終わりにかかる時期なのですが、未だに始まらないというのは。。。 今年は何かがおかしいですね。。。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください