岡本太郎美術館20周年特別展で「太郎ソノモノ」を見た
東京生活を初めてまもなく2週間が経過。半日ほど時間を設けることができたので、思い切って「エネルギー」をチャージしにいくことにしました。
向かったのは神奈川県川崎市の生田緑地内にある岡本太郎美術館です。
1999年に開館して以来、今年で20周年を迎えるということもあり「これまでの企画展を全部見せます」というベラボーな特別展を開催中。
20周年という節目の年に、これまで行われてきた約60回の企画展の集大成として太郎の多面的な活動の足跡を振り返ろうというような内容です。
現在は、縄文土器から民族の源流を探るという太郎の幅広い芸術活動を紹介する「前期:岡本太郎・縄文から現代へ」が開かれています。
会場には太郎が心奪われた縄文土器も展示。
荒々しい不協和音がうねりを立てるような形態、紋様、そのすさまじさに圧倒されたという感想を残しています。
太郎自らが沖縄や東北をめぐり、古来より日本人が受け継いできたシャーマニズムや呪術性を調べていたころの写真もあり、それぞれの土地が持つ香りや汗、空気を会場中に醸し出していました。
他にも、代表作である「太陽の塔」の習作用模型や「明日への神話」の油絵原画、
さらに書家としての作品も展示されています。
「夢」という文字一つとっても表現は無限。
色とりどりの希望に詰まった「夢」
荒々しく狂気に満ちたような「夢」
真っ白な紙の上に黒い線が走り、生々しく人間の生命感が躍動する。書からも太郎節があふれています。
私自身1年ぶりとなる岡本太郎美術館でしたが、今回も魂を揺さぶられるような素晴らしい特別展でした。
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これまでの60回の企画展を通して太郎の生き様を振り返る。今回の催し自体が、まるで大きな生命の樹のような立体感。太陽のように燃え上がるとてつもないエネルギーを感じます。
彼にとって芸術とは人生そのものであり、芸術を生み出すことは生きることそのもの。
そうした「生の哲学」を肌で感じ、私も今を必死に生きなければいけないと鼓舞されました。
数ある作品の中から今回紹介するのは太郎が1949年に発表した油絵「重工業」。
科学の発展は何をもたらすのか、工業、農業、社会活動の中で人間はただ大きな歯車のように働かされているだけなのではないか。
「工業化に振り回される人間」そうしたメッセージが伝わってくる絵のようにも見えますが、私はその先のメッセージがあるようにも感じました。
歯車となっている人間をよく見ると、楽しそうに活き活きと舞い踊っているようにも見えませんか。
自分自身がただの工業製品になるか、それとも人間として楽しみを見出しながら歯車を回していくかそれは今を生きる一人一人の気持ち一つである。そのように投げかけてくれているようにも感じました。
生命のしるしを自分で確かめるように作品を作り続けた太郎。そんな太郎を愛してやまない太郎好きのための特別展「これまでの企画展を全部見せます」。前期は10月14日まで開催しているので、宜しければその狂気に満ちたエネルギーを体感してみてください。