「魔法の畑」が未来を変える!?
無農薬・無施肥・不耕起で多様な動植物達の力を借りながら環境を構築&復元していく協生農法。
3年前から自宅の田園跡で実践し始め、徐々に野菜の収量も増えてきました。
一見ただの草っぱらにしか見えませんが、1反の農園で果樹約100本、山菜や野菜、ハーブ類が40種以上も密生混成しております。
この日は、麦わら農園の収穫体験に2組の家族がやってきてくれました。
本来なら、読者の皆様にも呼びかけ大収穫祭を行いたいと考えていたのですが、新型コロナウイルスの影響で中止。
今年は近所で暮らす方限定の1組ずつ少人数で開催することに。。。
現在、スナップエンドウが最盛期。パンパンに膨れ上がった豆に子供たちは大興奮。
夢中で収穫に励んでいるようでした。
収穫体験と言っても、目的は「野菜を収穫すること」ではありません。
美味しい野菜が欲しければ、スーパーや産直場に買いに行けばいい。
そのため、ただ野菜が欲しいだけの人は申し訳ございませんがお断りをしています。
私が子供達に伝えたいのは「植物としての野菜の姿」「生命とは何か」「山川海の循環」という根源の部分。
収穫というよりは「未来への種まき」という方が正しいのかもしれません。
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価値観を変える「魔法の畑」
「ここは魔法の畑です。農薬も肥料も一切使わず、雑草もいっぱい。でも何故か野菜達はこんなに大きく成長する。その秘密を探しながら収穫していきましょう!」
私は、だいたいいつもこの言葉を投げかけてから体験を始めます。
これにより、子供たちの「何故?不思議・・・知りたい!!」という知的好奇心のスイッチを押すことができるからです。
このモードに切り替わったら、子供たちの目の色が変わるのですごく分かりやすい。
・砂漠のように地肌がむき出しの状態と草に覆われた草原の状態、どっちが水の蒸発を防げると思う?
・普通の畑では肥料が必要なのに、野山では必要ないのはどうしてだと思う?
・肥料を与えてないのにスナップエンドウがこんなに甘いのはなんでかな?
随所随所にクイズのような問いを投げかけ、体感しながら自ら答えを紐解きます。
麦わら農園では、ニンジンやダイコン、スナップエンドウのタネを1年目以降買わずにずっと種採りしていることを伝えると目がまん丸に。
タネは買うのが当たり前、野菜は肥料で育てるのが当たり前という大前提が通じない魔法の畑は、子供たちにとって驚きの連続です。
野菜もただの植物。野山の植物は人間が手を加えずに育つし、こぼれ種で生命を繋いでいる。
これが「当たり前」。
今回来てくれたのは未就学児から小学生のメンバーだったので説明は省きましたが、高校生や大人にはこれに加え
一年草→多年草→小低木→中木→高木と自然の摂理で植物相が移り変わっていく「植生遷移のエネルギー」の話をします。
畑に低木や高木を導入し、その周りに一年草や多年草である野菜を植えることで成長を促そうというのは、少し難しい内容ですからね。
他にも植物同士は根を通して情報を伝達し合うという「菌糸ネットワーク」や「地中微生物」「表土の仕組み」「無施肥による地下水への影響」などについても話ができればベスト。
農学ではなく植物学や生物学の視点から見ると、麦わら農園に果樹を100本も植えているのは魔法でも何でもなく極めて合理的な理由だということが分かります。
子供達には「シマラッキョウは収穫した半分を植え戻すと来年また増える」という裏技的な話など、面白いと思ってくれるような内容を中心に話します。
最初は「信じられない!スゴイ!」と驚いていた子供たちが、いつか「それって別に普通の話やん」と価値観が変わる時、それが麦わら農園でかけた魔法が解ける瞬間です。
体験後、子供達からとても嬉しい感想が届きました。
「スナップエンドウは売り物と比べ物にならないくらい美味しかった」
野菜が美味しかったという入り口からでもいい、まずは知ること。そしてワクワクしながら不思議に思うこと。
麦わら農園は生涯学習の教材であり学び舎。
多くの人々がこの魔法から解き放たれたとき、未来が、世の中が変貌するというとっておきの魔法なのかもしれません。