地下の生き物たちはどこにいる?間隙性生物調査

最近、日中の気温が高い日が多くなってきましたね。

そのため、私が調査している三重県の河川ではこの通り。

河津桜が咲いてました!!

早咲きの早生種として知られるこの桜。県内では3月上旬から中旬に見ごろになることが多いのですが、今年は2月末で見ごろを迎えるものもあり驚きました。

気温が高くなってきたため、一気に開花が進んだのでしょうね。さぁ、春はもうすぐ近くまで来ていますよ!

伏流水の生物調査

さて、私が今回行っているのは河川の表層水ではなく地下を流れる伏流水の中にすむ生き物たちの生物調査。

そんな地下に住む生き物たちなんてどうやって調査するの?なんて疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。

川底をスコップで掘って調査するんですよ。

分かりやすいでしょ? アナログですが、一番手っ取り早い。

表層水が地下へと浸透している場所は砂利がフカフカしているので足で踏めばなんとなく分かります。

そんな場所をスコップでザクザクと掘ってみると

このとおり。下から水が湧いてきます。こうして水の通り道を探り当てて、その周辺を掘ることで地下に住む生き物たちを探そうというのが狙いです。

普段、私たちの目にすることができない世界なので、あまり詳しい研究が進んでいないんですよね。

裏返せば、全てが大発見なわけです。

今回の調査でも、三重県で初めて発見された希少種、未記載種が多々見つかり一同を大いに驚かせてくれました。(詳しくはまだ言えませんが、後日論文や何らかの形で発表することになると思います。。。)

こうした地下の生物が多数見つかったということは、その生物のエサとなる小さな生物もいるということ、そうした生物達が暮らせるような伏流水の量が安定して供給されているという証でもあります。

生物たちが川の現状を教えてくれる指標の役割を担ってくれているわけですね。

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堆積土砂撤去作業の影響は

今回の調査は、もう一つ我々に河川の深刻な現状を突き付けてくれました。

こちらは、土砂の撤去作業などで平らにならされた河原。重機で踏み固められカチカチです。

その近くを掘ってみましたが、地下の生物は1匹も見つかることはありませんでした。

以前はこの場所でもたくさんの生き物が住んでいたのに1匹も出てきません。

フカフカな所、つまり伏流水の通り道が完全に押しつぶされて遮断されてしまったのです。

地下の生物は「間隙性(かんげきせい)」といって砂利や礫の隙間にある隙間を流れる地下水の中で暮らしています。その隙間をつぶされてしまったら暮らせるはずもありませんよね。圧死です。

堆積土砂を撤去することは人命を守ることにもつながるので、残念ながら仕方ないのことだとは思いますが、

何故こんなに踏み固める必要があるのか県の担当者の方にはそれをもう一度考えてもらいたいものです。

土木工事なので完成報告は基準面の数ミリ以下に抑えなければいけないことはわかります。

つまり小石一つでも出っ張っていたら基準違反になるので最後は重機で平らに押し固めるのでしょう。

でも従来、河原はでこぼこしているものではないですか?凹を好むものもいれば凸を好むものもいて当たり前。

悲しいです。もう少し川のことを見てもらいたい、知ってもらいたい。 

今回三重の河川を調査しましたが、全国の河川でも同じような現状も多いと思います。

陸上工事の基準を河川に当てはめて本当に良いのかどうか、この事実を深刻に受け止め今一度考えてもらいたい。

そう切に願います。

土砂撤去作業の近くで見つけた看板。会いたくても、もう会えないかも。

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