絶滅危惧種?夫婦円満の象徴?「ハマグリ」の秘密

昨日まで名張市の蛭子神社で行われていた、「八日戎」。
そこに欠かせない縁起物といえば「ハマグリ」でしたよね。
 
 
 
今回は、こうした名張市のお祭りだけではなく、桑名市を代表する特産品としても有名な、

 三重県の食文化や風習と密接した関わりのあるハマグリについてまとめてみました。

天然ハマグリは「絶滅危惧種」

日本書紀にも登場するなど、古くから日本人になじみの深い存在であるハマグリ
縄文時代の貝塚から出土した貝殻の80%近くがハマグリだったいう驚きの調査結果も出ています。
 
その量はアサリやシジミの比ではなく、縄文人はあえてハマグリを好んで食べていたようです。
 
 
三重県桑名市で漁獲されているハマグリは、江戸時代に「その手は桑名の焼き蛤」という言葉が流行るほどの全国に広く知られています。しかし、1960年代に年間3000トンあった桑名のハマグリの漁獲量は1995年には0.8トンにまで減少
 
アサリよりも水質の変化に非常に敏感なハマグリ。干潟の消滅や高度経済成長期の水質汚染、乱獲などの影響もあり、桑名だけでなく全国的にも漁獲量は減少しており、2012年には環境省が定めたレッドリストには「絶滅危惧2類(絶滅の危険が増大している種)」として登録されました。
 
 
現状を危惧した桑名市の赤須賀漁業協同組合は、地元の宝物であるハマグリを絶やすまいと漁獲数量制限の導入や干潟などの環境保全活動、密猟のパトロールなどに取り組みます。
 
その結果、2010年の漁獲量は年間200トン前後にまで回復したそうです。 
 

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市場に出回っているのは「ハマグリ」じゃない!?

 現在、食用に「ハマグリ」として国内で流通しているものの多くは、中国や韓国等から輸入された
シナハマグリ」という近縁種。
 
 
付け根部分に点々がついているのが、シナハマグリを見分けるポイントです。
 
いやいや、でもスーパーには国産って書かれたものも売ってるじゃないかと思う方も少ないでしょう。
 
 
しかし、そのハマグリは国産には違いないものの大半は外洋性の「チョウセンハマグリ」という別種なんです。
本物の「ハマグリ」は内湾性。希少でなかなか目にすることはできません。
 
 
名張の八日戎で売っていたのもシナハマグリでしたね。
 
ちなみにハマグリという名前の由来は、形が栗の実に似ていることから「浜の栗」からきたという説と、古語で石(礫)という意味を示すクリから「浜礫(はまぐり)」となったとする説があるそうです。
 

ハマグリは一夜に三里走る?

潮干狩りの際、ハマグリを探す人もいるでしょうが・・・
 
アサリのいる場所に まずハマグリはいません
 
アサリは潮の満ち引きが作用する砂浜(潮間帯)に棲んでいるのに対し、ハマグリはそれより深く一日中海水に浸かる砂地(潮下帯)にいます。
 
 
ハマグリが棲む潮下帯には、エサである植物プランクトンや海底の有機物が豊富にあります。
 
しかし、多いのはエサばかりではありません。ヒトデ類やツメタガイ類、カレイ類などハマグリを狙う生物もたくさん棲んでいます。
 
そのため、ハマグリにはアサリやシジミにはない独自の能力を身につけてこの環境を生き抜いてきました。
 
その能力とは「高速海中移動」。
 
素早く砂の中に潜ることができるほか、付け根あたりから1~3mに及ぶ粘液を分泌し、紐のように伸ばすことで潮の流れに乗ることができます。
 
これを利用すると1分間に1メートルも移動できるのだそうです。
 
見た目からでは想像できないほどの素早さ。。。 驚きです。
 

ハマグリは「夫婦円満」の象徴!?

 ハマグリの左右2枚の貝殻は、同じ貝の物でなければ、ピタッと合うことは決してありません。
 
この性質から、夫婦円満の象徴として嫁入り道具に使われたり、雛祭りにハマグリを供え貝殻で遊ぶのは、相性の良い相手が見つかります様にいう願いが込められているそうです。
 
他にも、平安時代には「貝合わせ」という貝殻の内側2枚に同じ絵や文字を書き、一方を隠してもう片方を探し当てるという、トランプの神経衰弱のような遊びが貴族の遊びとして親しまれていたということが源氏物語などにも描かれています。
 
 

まとめ

古くから日本文化との深い関わりのあるハマグリ
 
旧暦3月3日の雛祭りがハマグリの食べ納めといわれる様に、冬から春先が旬。
そのため「春の季語」にもなっています。
 
名張の八日戎で、「海の幸の代表が何故ハマグリなんだ!?」と思っていましたが、
名張に春を呼ぶ」という意味や「人と人との出会いを楽しむ市は一期一会」その絆をハマグリの性質に重ねていたのかもしれませんね。
 
もちろん、あくまで私の推論に過ぎませんが、そう考えるとハマグリは本当にピッタリ。 
 
皆さんもハマグリを食べる機会があれば、思い出して話のネタにしてみてくださいね!
 

 

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